ANNnewsCH 迫る火の手…高齢者施設、決死の避難 重なる悪条件 ウニ漁に影響も 岩手・山林火災【羽鳥慎一モーニングショー】(2026年4月24日)

迫る火の手…高齢者施設、決死の避難 重なる悪条件 ウニ漁に影響も 岩手・山林火災【羽鳥慎一モーニングショー】(2026年4月24日)

 岩手県大槌町で起きた山火事です。夜を徹しての消火活動が行われていますが、今も鎮火のめどは立っていません。火の勢いは衰えることなく、市街地に迫っています。

■日の出とともに…ヘリによる消火活動

 森林火災の現場から遠く離れた岩手県釜石市にまで広がる白い煙。

 24日朝も、森林火災は収まっていません。

 駐車場に止まる車の中から火災現場を見つめる男性。車中泊をしていたといいます。

車中泊をした男性
「あそこだから、家が。団地だから。家の50メートル前ぐらいに火が見えてたから、燃えたらまずいなって思って」
「(Q.祈るような気持ち?)うん。まず(火が)来なければいいなと思って」
「(Q.見つめている)それしかないですね」

 24日朝も、日の出とともにヘリによる空からの消火活動が始まっています。

 発生から1日以上経っても衰えることのない炎。火の手が迫る高齢者施設。

高齢者施設の代表
「ほとんどの利用者が歩けない。車いすも数が限られている」

 消火活動に立ちはだかる壁。

消防団員
「きのう夜に消火栓も貯水槽も、ほぼ使い切ってしまった状況」

 相次ぐ災害に翻弄(ほんろう)される大槌町の住民。再建した家を後にする人の姿もありました。

■放水の先に…赤い炎

 一本の線を描くように燃え広がる炎は、住宅街にも迫っていました。

 岩手県大槌町の小鎚地区と吉里吉里地区の2カ所で発生した山林火災。発生から一夜明けた23日、火の勢いは衰えることなく、延焼範囲は拡大していきました。

 火が出た吉里吉里とは山を挟んだ位置にある赤浜地区。避難指示が出されていますが、許可を得て消防団の活動に同行しました。

 民宿の裏手にまで火の手が迫っているということで、消防団が火の手が下りてきている場所まで向かいます。

消防団員
「あそこだ」

 斜面を登った先では、ホースを長く伸ばして消火活動を行っていました。

 放水の先に、赤い炎が確認できます。さらに別の方向からも火の手が…。

消防団員
「『民宿裏の林道に火が下がってきた』と。下がってこないように“防火幕”」
「(Q.周りを濡らして?)うん。消すというより、それ以上、火を下げない」

 炎が迫る中、民宿の無事を確かめに来た人がいました。

住民
「下のほうで、民宿を親がやっていて。そこで生まれて震災後に、こっちのほうに移った」
「(Q.震災後に高台に移転したら山火事)まさか自分がこういう思いするとは」

 東日本大震災で被害に遭ったという女性は、次のように話します。

「(Q.東日本大震災の時も大変な被害を受けた?)全部流されました。そろそろ(火が)迫ってきて、火の粉も飛んできて、家はあきらめようと言っている。だってすぐかもしれないもん。(8年前に)家も建てたんだけど、涙ばかり出てくるよね」

■続く延焼…懸命消火活動

 山の中では懸命な消火活動が行われています。しかし、火の勢いは収まりません。

 火災現場で初期消火にあたった消防団員は、悪い条件が重なってしまったといいます。

大槌町消防団 芳賀潤副団長
「ものすごい音です。杉がバリバリと焼けて、ワーッと煙と炎が立ち上がる」

 15時間以上消火活動を続けましたが、延焼を止めることはできなかったといいます。

芳賀副団長
「全国的に雨が少ないので、山はからっからの状態です。そこにあの強風だから。悪い環境が全部一緒になって、これぐらい延焼している」

 大槌町の小鎚地区では住宅1棟が焼け、物置や牛舎など6棟に被害が出ました。

 煙などによる被災者への健康への影響も懸念されています。

■ワカメ、ウニ漁に影響も

 延焼し続ける山林火災は、市民生活にも影響を及ぼしています。

 大槌町の名産であるワカメ。今、この刈り取りができなくなっているといいます。

新おおつち漁業協同組合
阿部隆彦総務部長
「今、ワカメ漁が終盤を迎えていて、皆さん、避難指示であるとか、通行の遮断で漁に出られない状況。ワカメは漁業者の皆さんの大きな収入源でもありますので」
「(Q.かなりの打撃)そうですね、結構痛手ですね、この火災は」

 来週から始まるウニ漁の影響も心配だといいます。

阿部総務部長
「避難指示が出ている関係で、ちょっと漁のほうは控えたほうがいいのか、今相談しています」

■市街地に煙 スーパー休業

 山林火災は広がり続け、23日午後、新たな避難指示が出されました。

 学校や商店などが並ぶ沢山地区。山肌では炎と煙がくすぶっていました。

 約1時間後に撮影された映像では、住宅のすぐそばまで煙が迫っていることが分かります。

 避難指示を受け、スーパーは営業休止となりました。

沢山地区に住む 高田要さん(37)
「飛んできた灰で火が付く。なので水をまかないと。まさか沢山まで火事が来ると思わなかった」

 23日午後6時すぎ、自宅から見える山にも火の手が上がっていることを確認。家族で実家に避難することを決めました。

沢山地区に住む 高田侑香里さん(35)
「家自体が焦げ臭くて、具合が悪くなりそうなぐらいにおいが強い。命のほうが大事なので避難優先で動きたい。山から離れたほうが、安心かなと思います」

 高田さん家族が避難した後、山のほうを見ると、炎はさらに範囲を広げていました。

 この沢山地区を含め1200世帯以上、約2600人に避難指示が出されています。

■高齢者施設 決死の避難

 難航する消火活動、住宅地に火の手が迫る中、夜間に急きょ避難を行ったところもあります。

 大槌町の2つの介護施設の利用者115人が、ホテルに避難しています。

 ホテルの広間で休んでいる高齢者たち。町内の高齢者施設から22日に避難してきた人たちです。

 22日午後6時前に、施設の前で撮影された写真です。空がオレンジ色に染まり始め、煙に覆われているのが分かります。

高齢者施設のスタッフ
「煙の範囲が広がったり、赤く見えてきたっていうのもあって。避難開始するっていうのを決めました」

 しかし、この1時間半後に同じ場所で撮影された写真では、空が赤く染まり、高く上る火柱も見えます。

 56人が利用していた高齢者施設に火の手が迫り、22日午後8時ごろ、別の高齢者施設に避難しました。

 ところが風向きが変わって、その施設の利用者と一緒に115人がホテルへと2次避難することに。

高齢者施設の代表
「風向きが強くなってきたり、利用者さんが不安だったり、職員の不安も大きかったんです」
「(Q.介護が必要な方も多いと思うが)全部そうです。ほとんど車いすなので」

 ホテルに2次避難した高齢者の8割は寝たきりか車いすで生活を送っているといい、車やバスで何往復もして避難させたといいます。

高齢者施設の代表
「夜の移動の不安もあった、実際。津波の心配もある中で、いざここに避難して地震があったらと頭がよぎったが、今、目の前にある火災からどう利用者を守るか、職員も一昼夜、不安で施設にいるよりは移動したほうが安心かなと、最終的な判断をした」

■頭よぎる「15年前の記憶」

 20日に起きた地震で、後発地震注意情報が発表されている中での、山林火災による避難指示。相次ぐ災害に、不安は募る一方です。

高齢者施設の代表
「(Q.利用者から不安の声は?)『どこに行くの』と話をされたり、逃げている最中。受け入れてくれたのがホテルだったので、ホテルに泊まりに行くべし、笑いながら不安にさせないように」

 避難後に撮影された写真では、火柱が複数上り、煙に覆われた空は真っ赤に染まっていました。

高齢者施設の代表
「これが30分遅れていたら、火の粉が飛んできている最中の移動だったかもしれないと」
「(Q.利用者から不安の声は?)恐怖は覚えましたよね」

 全員が避難を終えたのは日付が変わった23日午前2時ごろ。23日、避難先のホテルには、利用者の家族が駆け付けていました。

利用者の家族
「施設のすぐ裏の山が燃えていたみたいで、こんなことになっていたんだなと思って、改めてびっくりしました。(母は)車いす介助なので、大変だったと思います」

避難した利用者
「火事と聞けばドキドキしてくる。どうなるのって最初はね」
「(Q.避難となった時は?)避難してもらえれば、ありがたいと思ってね。お手数かけるけどね」

 1週間で立て続けに起きた自然災害。しかし、利用者の表情は皆落ち着いていました。

高齢者施設の代表
「職員のほうもそうだと思いますけど『あの時』を経験しているので。乗り越えられないわけはないし、最悪の状況も考えつつ、常に自然との闘いなので」

 住民の頭をよぎるのは、15年前の記憶。こちらの女性は、震災後に家を建て直しました。

「(Q.震災の後に?)家が流されたので建てたのですが、またなくなったら嫌ですよね」
「借金が重なってね」
「(この辺は)皆、多いと思う」

 父親の自宅へ避難を決めた女性。向かったのは、母親の遺影が飾られている仏壇でした。

「火事が収まりますようにってお願いするしかない」

■震災の記憶…相次ぐ災害

 2万人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災。10メートル以上の津波に襲われた大槌町でも甚大な被害を出し、全住民の1割にあたる1285人が犠牲となりました。

 町長をはじめ、40人の役場職員も行方不明となり、行政機能は麻痺。住民たちはその後、半年近くもの避難所生活を強いられました。

 今月20日、再び東北地方を襲った最大震度5強の地震。津波警報の発表に伴い、この時も大槌町の住民は、高台や避難所へ避難せざるを得ませんでした。

「(Q.震災の後に)踏んだり蹴ったり。津波だ、火事だ、大変だ」

 津波、地震、そして山林火災。自然災害に襲われるたびに避難を余儀なくされる大槌町の人々。

「以前は津波で高台のほうに移転して、今度は山火事で別の場所に避難してということだったので、避けられないことではあるが不安でいっぱい」
「もう震災を思い出しますね。あの時の臭いがする」

(2026年4月24日放送分より)
[テレ朝NEWS] https://news.tv-asahi.co.jp

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