#ANNnews 閉山中の富士山で相次ぐ救助要請 冬山の“2つの恐怖” 救助有料化など抑制策は?【サタデーステーション】(2026年3月7日)



閉山中の富士山で相次ぐ救助要請 冬山の“2つの恐怖” 救助有料化など抑制策は?【サタデーステーション】(2026年3月7日)
閉山中の富士山で遭難し、救助要請する事案が後を絶ちません。サタデーステーションは対応にあたる静岡県警山岳遭難救助隊を独自取材。命がけの救助映像からみえた冬山の恐怖とは…(3月7日OA「サタデーステーション」)

■人気爆発の富士山 外国人による“迷惑行為”課題に…

7日、サタデーステーションが訪ねたのは、富士山と五重塔が望める公園。桜が満開になる頃には、日本らしい情緒ある風景に。

アメリカからの観光客
「世界七不思議みたいな景色、神秘的です」

外国人で賑わう中、周辺では迷惑行為も…

報告・田中昌貴ディレクター(7日 山梨・富士吉田市)
「立ち入り禁止エリアの中に入って撮影しています」

警備員「あー!」
番組スタッフ「(外国人が)車道に出てしまっています」

外国人による問題は、閉山中の富士山でも頻発しています。

■閉山中の富士山で相次ぐ救助要請

私たちは、県や県警の許可を得て静岡側・須走ルート5合目まで入ることが出来ました。毎年、閉山期間中に問題となるのが“無謀な登山者”です。閉山期間中の遭難者は、静岡側だけでこの5年で48人、そのうち死者は12人と、4人に1人が亡くなっています。
こうした“無謀な登山者”を命がけで救助するのが静岡県警の山岳遭難救助隊です。隊員歴32年のベテラン、坂上隊長を取材しました。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56)
「(遭難者は)冬山経験の浅い方ばかりではなくて海外遠征に行くようなベテランの方も遭難してしまう」

■冬の富士山の危険(1)「滑落」

冬の富士山ならではの危険が2つあるといいます。1つ目が「滑落」これは救助隊が富士山で滑落を検証した映像です。人形にカメラを装着して山の斜面を転がしてみると人形は回転しながら、勢いよく転がっていきます。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56)
「一度滑落すると止まることができない、数キロくらい滑落することもありますので、命に関わる重大な案件に発展する可能性がある」

そして、救助に向かうときは、歩幅を小さく慎重に歩くため、現場に到着するまで時間がかかってしまうといいます。
今年1月、富士宮ルート8合目付近で下山中の中国籍の20代男性が「足を負傷して歩けない」と救助要請が入ったときには…暗い雪道を進み、現場に向かう救助隊。男性と合流したのは、通報からおよそ10時間後の午後10時を過ぎていました。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56)
「最初は夜通しで救助しようと思ったんですけど予想以上に夜の風が強くて、明朝の明け方まで待機することにしました」

■冬の富士山の危険(2)「台風並みの突風」

冬の富士山の危険、2つ目が「台風並みの突風」です。中国籍の男性は、右足を骨折していました。救助隊と合流した際には、突風が吹いていたため8合目で一晩を過ごし、翌朝に下山。その搬送方法も、夏よりもかなり慎重です。

去年8月 救助者を搬送
「いくよ、1、2、3」

夏は救助者を背負って搬送することが多いですが…冬は救助者が滑り落ちないよう命綱を付けてストレッチャーに乗せて慎重に運びます。

静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長(56)
「隊員に遭難者の体重の負荷がかかりますので、夏季より非常に神経は使います」

突風が起きやすい冬の時期はヘリでの救助も困難で、天候次第では救助に向かえない可能性もあります。
命の危険が伴う冬の富士登山。通行禁止の登山道を通った場合、6か月以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。

■冬の富士登山 自治体は自粛要請

取材中にも、登山に向かう多くの外国人と出会いました。山梨側の4合目。
2人組の外国人は、5合目の山小屋に宿泊し、翌朝、山頂を目指す計画を立てていました。5合目にある山小屋まではバスで向かう予定でしたが…

報告・田中昌貴ディレクター(2月21日 山梨側・富士スバルライン4合目)
「ここから先は、路面の雪のため、通行止めとなっています」

アメリカからの登山者
「この道は歩けるでしょう」
カナダからの登山者
「そうしないと、かなり遠回りになるよね」
アメリカからの登山者
「登らせてほしい、装備もちゃんとしているから」

通行止めでバスが通れないため、車道を歩いて山小屋を目指したいと主張しています。通行止めになっている富士スバルラインをドローンで見てみると、片側の車線は雪で覆われ、見えなくなっていました。ゲート付近にいる警備員も無謀登山者を何度も目撃しているといいます。

ゲート付近の警備員
「外国人で登山の格好をして5合目開通の時期になるとスキーをやる人、もう止めようがないですよ」

結局、2人は来た道を徒歩で戻り、通行可能な登山道から山小屋を目指すことにしました。

さらに、その2日後にも…

報告・富樫知之ディレクター(2月23日 山梨・吉田ルート5合目)
「あちら登山者の方でしょうか、大きな荷物を持っていますね」

日本在住のオーストラリア人とアメリカから来たという2人組の登山家。

オーストラリアからの登山者
「富士山はいいトレーニングになります。僕らは登山ルートを使いません」

整備されていない斜面は岩でゴツゴツしていて、足場も悪く、かなりの急勾配です。登山道にある案内標識もないため、遭難するリスクも高まります。
山梨と静岡の両県は、登山計画書を提出し、万全な準備をしていたとしても、冬の登山は、自粛するよう注意を呼びかけています。

■危険な富士登山と遭難どう抑止?「救助の有料化」実現可能性は

静岡県議会の特別委員会は、危険な登山の抑止力になるとして「救助の有料化を検討すべき」と提言。山梨側でも富士吉田市長が「救助費用は有料化すべきだ」と言及しています。
この救助の有料化について山梨県は「議論を重ねている」とし、静岡県は「議論はしているが、法的な壁があり“実現は困難”」としています。では、無謀登山にどのように対応していくのでしょうか?

静岡県富士山世界遺産課 岡部晋治 参事
「富士登山そのものを禁止する法律はないものですから、道路法に基づく登山道の通行禁止など、法令に基づいて説明できるということを発信しまして閉山期間中の登山抑制に努めている」
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