#ANNnews “破竹の快進撃”隠ぺい・捏造…なぜウソは膨れ上がったのか 映像は戦争をどう伝えた【報道ステーション】(2025年8月15日)
“破竹の快進撃”隠ぺい・捏造…なぜウソは膨れ上がったのか 映像は戦争をどう伝えた【報道ステーション】(2025年8月15日)
テレビのない時代、唯一、映像で戦争のことを報じていたのが、映画館で上映されていた『日本ニュース』でした。それは国民に何を伝えていたのか。14日は、1941年の真珠湾攻撃から1942年のミッドウェー海戦までを取り上げましたが、2日目の15日は、その先、終戦までをたどります。隠ぺい、水増し、捏造。ウソにウソを重ねていく3年間の記録です。
太平洋戦争開戦以来、戦いを有利に進めてきた日本。それを一変させたのが、1942年6月の『ミッドウェー海戦』です。大本営は、戦火を華々しく発表しました。
朝日新聞(1942年6月11日)
「米空母2隻撃沈。我が2空母に1巡艦に損害。太平洋の戦局、この一戦いに決す」
しかし、事実は、日本の大敗北。戦闘に参加した空母4隻は全滅し、多くの熟練パイロットを一気に失いました。ミッドウェー海戦は、戦局を大きく変えるとともに、軍とメディアが一体となって、国民にウソをつく、きっかけとなりました。
当時、戦争のニュースを、唯一、映像で伝えていた日本ニュースは、一切、報じていません。空母が沈没し、フィルムが失われたこともあり、“なかったこと”にしました。
その沈黙をやぶったのが、8月に勃発したソロモン海戦。勢力範囲を広げていった日本が、ソロモン諸島・ガダルカナル島の飛行場をめぐり、アメリカと激突した戦いです。
■隠ぺいに水増し メディアのウソ
『日本ニュース』126号
「ソロモン海戦の全期間を通じて、撃沈破せる敵艦船65隻、撃墜破せる敵機は実に800機に及んで、ここに敵米英総反攻の夢はむなしく敗れ去ったのであります」
ソロモン海戦の初期のころには、日本がアメリカを打ち負かしています。しかし、最終的には、当時の主力艦である戦艦を2隻も沈められたうえ、またしても多くの航空機とパイロットを失い、日本の戦力が大きくそがれた戦いでした。
そして、開戦から1年。
映像の中では依然、破竹の快進撃を続けていました。
『日本ニュース』130号
「帝国無敵海軍、北洋に、インド洋に、はたまた太平洋に、米英撃滅の陣を敷くこと既に1年、全将兵の意気は火と燃える」
ただ、このころになると、国内では、多くの人が苦しい生活を強いられるようになります。そんな国民を鼓舞するのも、日本ニュースの役割でした。
『日本ニュース』131号
「戦い抜け大東亜戦争。決戦第2年目へ、町々に米英打倒。戦い第2年をも必勝の信念もて、勝ち抜かんとする決意みなぎって、この日、帝都は感激のるつぼと化す」
■“全滅”を“玉砕” 真相うやむや”
1943年、アリューシャン列島の西の端に位置するアメリカ領・アッツ島で、守備隊が全滅します。さすがの軍部も“全滅”までは、隠し通せませんでした。
その慰霊式を伝えるニュースで、ある言葉が使われました。
『日本ニュース』174号
「光栄の軍神部隊、2500余柱の英霊は、沿道に堵列する市民、寂として声なく、誓って遺烈受け継がん決意に粛然として襟を正す中を合同慰霊祭式場に粛々と進む。北辺の果て、前線アッツ島に全員玉砕を遂げ」
“玉砕”。玉が美しく砕けるように潔く死ぬという意味です。
大本営の失策によって、最期は、バンザイ突撃で命を落とした兵士たち。それを“玉砕”という言葉によって美化し、真相をうやむやにしたのです。以降、太平洋の各地では、“玉砕”が繰り返されるようになりました。
こうして兵力が失われていった日本は、国の将来を担う学生までも戦場に送ることを決めます。学徒出陣です。
『日本ニュース』177号
「秋雨、煙る明治神宮外苑競技場。全日本学徒が多年、武技を練り、技を競ったこの聖域に、10月21日朝まだき、出陣学徒壮行の式典、厳かに挙行さる。岡部文相。さらばゆけ学徒」
軍楽隊が奏でる分列行進曲に合わせ、雨の神宮外苑を進む2万5000人の学生。
勇ましいナレーションとは裏腹に、映像からは、どこか物悲しい雰囲気も伝わってきます。
戦後、製作者の1人は、こう証言しています。
日本ニュース製作部長 土屋斉氏
「学徒出陣を一言でいうなら、まさしく『悲愴』です。もはや精神論では、通じやしないんだということを、何とか知ってもらいたい。それが、私の本意だったんです。一人の学生の後姿を、帽子から足元まで長くパンダウンするシーンに東条首相の演説をかぶせたのは、悲愴感をもり立てるために、意図的に編集したものなんです」
時の総理・東条英機の勇ましい言葉と、ボロボロの靴。
軍の検閲が厳しさを増すなかでの、精一杯の戦争批判でした。
■敗北が大勝利に デタラメの報道
しかし、1944年、日本ニュースは、後に“世紀の大誤報”といわれる大本営発表をそのまま伝えます。
1944年10月に勃発した台湾沖航空戦。
台湾に攻撃を仕掛けたアメリカを、陸海軍の航空部隊が迎え撃った戦いです。
『日本ニュース』230号
「大本営発表。我が部隊は、敵機動部隊を猛攻し、その過半の兵力を壊滅して、これを潰走せしめたり。轟撃沈、航空母艦11隻。戦艦2隻」
信じた国民は、大勝利に湧きました。事実であれば、アメリカの空母部隊は壊滅しています。実際は、日本の惨敗。後に、アメリカはこの戦いで、空母も戦艦も1隻たりとも失っていなかったことが判明しています。
さらに、その後のレイテ沖海戦。“史上最大の海戦”とも言われ、帝国海軍が、事実上、壊滅した戦いです。
日本ニュースの内容は滅茶苦茶でした。
『日本ニュース』232号
「敵弾により、我が飛行甲板に損害を被る。されど、激戦のさなかに消火成功。戦闘継続」
映像は空母『瑞鳳』。このあと、間もなく沈没しています。
『日本ニュース』232号
「死を恐れぬ我が艦載機は、実によく戦って帰ってきた。母艦への着艦もあきらめて、僚艦の傍らへ着水するほどの頑張り方であった」
これもウソ。空母が沈没し、降りられる場所がなかったのです。
■戦争遂行へ…女性や子どもも対象
この時期、増えていったのが、国内の話題です。
絶望的な戦いが続く前線からは、徐々にフィルムが届かなくなり、戦果を捏造するにも限界がありました。
多くを占めたのは、女性や子どもに対する戦争協力への呼びかけです。
『日本ニュース』195号
「落下傘・飛行機・弾丸・電波兵器。どんな兵器でも、どんな武器でも、女性の手でやってやれないものはない。いまだ尻込みする一部の女性や父兄は、この機会に、十分、反省するとともに、アメリカ兵の武器の大半が、敵国女性の手になっていることを思うべきでありましょう」
『日本ニュース』213号
「疎開。疎開もまた戦力である。お父さん、お母さん、元気いっぱいに勉強してきます。みんな悲しくはない。うんと勉強しよう。それがお国に尽くす道であり、親には孝の道となる」
■特攻賛美 戦争の“末期症状”
そして、いよいよ行き詰った日本がたどり着いたのが、死ぬことを前提とした“神風特攻隊”でした。初めて報じられたのが232号。
『日本ニュース』232号
「僚友に最後の別れを告げる勇士たちは、従容としてむしろ死所を得たる喜びに燃えていた。神風特別攻撃隊の志願者は、陸続として後を絶たずという。生還なき進発の時は来た。長い長い見送りの列である。俺も続くぞ、成功を祈る。僚友の無言の声援を受けて飛び出した。悠久の大義に殉じ、忠烈、万世に冠たる出陣である
」
これが、その後の日本ニュースをさらに歪めました。
別冊一億人の昭和史『日本ニュース映画史』
「第232号が国民の間に複雑で異常な興奮を巻き起こし、少年を中心とする純粋な国民の間に感涙を流させるのを見て取った軍は、特攻隊ニュースの利用に力を入れ、これに抵抗して、日映当事者が淡々たるコメントを、淡々とアナウンサーにしゃべらせると、怒って国民を『泣かせろ』と要求し、悲哀なコメントを感傷的にアナウンスさせよと録音のやり直しを命じた。戦争の末期症状以外の何ものでもなかった」
日本ニュースは、このあと終戦までの間に22作が作られますが、このうち13作が特攻に関するものとなりました。
『日本ニュース』241号
「1機、また1機、飛び立つ特別攻撃隊。今、一線の若き陸海軍の将兵は、尽忠の二字を抱いて、敵陣のまっただ中へ。強敵、撃つべし。我ら一億、今こそ特別攻撃隊の精神を体し、戦力の増強、航空機増産にただただ死力を尽くして、挺身あるのみ」
特攻兵は死の間際まで、戦意高揚に使われました。
『日本ニュース』242号(幸軍曹:1945年1月9日戦死)
「自分は幸軍曹であります。大君の御馬前に敵とともに、差し違えて散っていくことを、無上の光栄と感じておる次第であります」
■市民の被害は歪曲…敗戦へ
他方、国内外で多くの市民が、戦争に巻き込まれ、犠牲となったことは、極めて歪んだ形で伝えられました。
例えば、東京大空襲。
『日本ニュース』248号(1945年3月)
「我々は、この現実を直視し、勇気100倍。助ける人も、助けられる人も、不思議なほど明るい顔を輝かせていた」
日本ニュースには、終戦までの期間、沖縄での壮絶な地上戦のことも、広島・長崎の原爆のことも出てきません。私たちがよく知る戦争末期の映像の多くは、アメリカが撮影したもの。国民は実態を知らされないまま、8月15日を迎えました。
■なぜ、ウソはここまで膨れ上がったのか
日本映画社 加納龍一氏(思想の科学 1979年8月号)
「一つ一つはたいしたことない。どっちでもいいんじゃないかと思っているうちに、気が付いてみたら、どうにもならなくなっている。一つ一つの小さなことの積み重ねで変わってくるんだ」
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