#ANNnews 【報ステ解説】軍事作戦の“成果”を強調 出口示さず…ホルムズ海峡は今後どうなる【報道ステーション】(2026年4月2日)



【報ステ解説】軍事作戦の“成果”を強調 出口示さず…ホルムズ海峡は今後どうなる【報道ステーション】(2026年4月2日)
イラン攻撃をめぐり、アメリカのトランプ大統領は、国民向けのテレビ演説に臨みました。自ら名付けた『壮絶な怒り作戦』について、終始、自画自賛でした。

アメリカ トランプ大統領
「この4週間、我が軍は戦場で、迅速かつ倒的な勝利を重ねた。前代未聞の大勝利だ。イラン海軍はすでに壊滅し、空軍とミサイル開発への打撃も深刻だ。防衛産業の基盤も消滅した。すべて達成した。ミサイルも使い果たされたか破壊された」

これを真っ向から否定するように、演説の直後、イスラエルにはイラン側のミサイルが飛来しました。

革命防衛隊は、SNSに、ヨルダンのアメリカ軍基地を攻撃したという動画を投稿しました。

ワシントン・ポストは、独立機関の分析として、攻撃の回数は、当初より減っているものの、イランは軍事力を維持していると伝えています。

CNN国際報道キャスター アマンプール氏
「(Q.大統領の演説をどう評価しますか)率直に言って、新鮮味はありません。これまで何度も繰り返してきた説明と同じです」

英・BBC
「ここ1週間ほどの彼のSNSへの投稿をコピー&ペーストしたとしても、今回の国民向け演説の内容と大差はなかっただろう」

■「イランを石器時代に戻す」

演説では、あれほど「順調で合意は近い」と繰り返してきたイランとの交渉について、ほとんど触れることはありませんでした。

アメリカ トランプ大統領
「この先、2~3週間は、徹底的に打撃を加える。彼らを“石器時代”に引き戻す。それが、ふさわしい。並行して協議が進んでいる」

「石器時代に戻す」というこの言葉。ベトナム戦争のときに、北ベトナムへの爆撃を本格化させるタイミングで、アメリカ軍のカーティス・ルメイ将軍の脅し文句として、いまに伝わっています。この戦争が、20年近くに及ぶ泥沼と化したのは周知の事実です。

■ホルムズ海峡は“放置”

こだわりつづけたホルムズ海峡の開放ついては、関係国に丸投げしたうえで、こう提案しました。

アメリカ トランプ大統領
「石油は、我々から買うがいい。アメリカは、石油が有り余っている。次にそろそろ勇気を振り絞るべきだ。本当なら、我々の求めに乗るべきだった。海峡へ向かい、石油を奪い、守り、自分たちで使えばいい。イランは実質壊滅している」

今回の演説の中で、トランプ大統領は、出口について具体的な説明はしませんでした。

CNN国際問題担当 チャンス上席特派員
「大統領の演説には、安心できる要素がほとんどなく、紛争の拡大や継続を予感させ、終結の時期にも言及はありません。むしろ印象だったのは、戦略的に強大化して、終戦時に海峡管理、弾道ミサイル、核開発を成し遂げるイランです。周辺諸国には憂慮すべき事態です」

マーケットの反応は、一言でいえば「失望」です。演説が進むにつれて、投資家からは、次々と売り注文が入ります。

2日の日経平均株価の終値は、前の日より1276円安い、5万2463円でした。また、原油の先物価格は上昇が止まらず、一時、1バレル=110ドル台をつけました。テレビ演説が、皮肉にもガソリン価格を、さらに上げる結果になりました。

■イラン「海峡は火星人が支配か」

演説を受けて、イラン側は対決姿勢をさらに強めています。

イラン中央司令部報道官
「軍事拠点の被害は取るに足らず、軍事生産は、誰も到達できない場所で行われている。我々は、神への信頼のもと、お前たちが決定的な屈辱を受け後悔し、降伏するまで戦い続ける」

タスニム通信
「第一に、もしイランの海軍力が破壊されたのなら、なぜ、アメリカは、ホルムズ海峡が封鎖されているとまだ文句を言っているのか?ホルムズ海峡を火星人が支配しているというのか?第二に、もしイランのミサイル能力が破壊されたのなら、今夜、シオニスト政権に対して、最も激しいミサイル攻撃を仕掛けたのは誰なのか?水星から来たのか?」

イランメディアは、軍の司令官が「敵が地上作戦を実行しようとするならば、1人たりとも生き残らせてはならない」と指示したと伝えています。

ペゼシュキアン大統領は、トランプ大統領の演説の前に、戦争は、そもそもアメリカ国民のためなのかと問いかけました。

イラン ペゼシュキアン大統領
「爆撃によって、主権国家を石器時代に戻すとの脅迫は、アメリカの印象を悪化させるだけではないのか。イスラエルは、アメリカを誘導して、代理戦争で極限まで戦わせ、費用は、周辺国に負担させ、自らは高みの見物を決め込むのか。いまやアメリカは、本当にアメリカ国民のためのものなのか」

■海峡の安全確保「日本にやらせよう」

演説の数時間前に行われた会合。本来、非公開の場で、本音ともとれるような発言もありました。

アメリカ トランプ大統領
「ホルムズ海峡は、武装したテロリストが1人でもいたら開放できない。海峡の原油に頼るフランスやヨーロッパに任せればいい。非協力的な韓国でもいい。原油の9割をホルムズ海峡に頼る日本、中国も全員でやればいい。なぜ我々なんだ?」

その後、動画は、ホワイトハウスのSNSから削除されました。

名指しされた日本。

佐藤啓官房副長官
「(Q.トランプ大統領は日本などを名指しして、ホルムズ海峡の安全確保を求めた。政府としての受け止めは)ご指摘のトランプ大統領の発言は承知しているが、逐一、コメントすることは差し控えたい」

日本政府高官
「トランプ大統領は、本当は言いたいことがあったけど、水面下の調整がうまくいかなったんじゃないか。でも、会見はセットしてしまっていたから、軌道修正して、新味のない演説になったんだろう」

ただ、このままでは、石油が不足する恐れが高まるのは確実。高市総理は衆議院の本会議で、節電や節約を要請する可能性に言及しました。

高市総理
「国民への節電や節約の協力依頼については、今後とも重要物資の需給や価格など、足元の状況を把握し、あらゆる可能性を排除せずに、臨機応変に対応する」

韓国は、事態の長期化は避けられないとみて、2日、2兆7000億円規模の補正予算案を出すなど対策に出ました。

日本時間2日午後8時からは、イギリス・スターマー首相の呼びかけで、日本を含む40カ国以上の外相が、対応を協議しています。

◆イラン情勢に詳しい慶應義塾大学の田中浩一郎教授とアメリカの安全保障に詳しい明海大学の小谷哲男教授に、イランとアメリカ、それぞれの思惑について聞きます。

(Q.これまでの発言とあまり変わらず、新しいメッセージというのも出てこなかったのですが、そもそも、なぜこの演説をしたのか、その狙いは何だったと思いますか)

小谷哲男教授
「まずは、戦闘終結が近いというメッセージを出すことで、一つはマーケットを安心させたかったということと、それからMAGA支持層に対しても、これ以上、対外介入はしないんだというメッセージを出すことで、少しでも支持率の回復につなげたいという狙いがあったんだと思います。トランプ大統領は、通常用意された原稿読まないことが多いのですが、今回は最後まで用意された原稿を読んでいますので、政府内でも調整をしたうえで原稿をつくり、そこから外れない形で、メッセージを出したんだと思います。ただ、中身が新しいところがなかった。みんなが求めていたのが、終結に向けた道筋だったんですけれども、それを示さなかったということで、マーケットは歓迎しなかった。狙ったとおりの効果は生み出せなかったと思います」

(Q.用意された原稿を読んでもマーケットは逆に反応した。トランプ大統領としては、もっとこうやってメッセージを出したかったというのはなかったのでしょうか)

小谷哲男教授
「トランプ大統領は、先週あたりからイランの問題に関心を失っていますので、できれば早く終結宣言というのを出したかったと思います。ただ、それをやってしまうと、イランが戦闘終結に乗ってくるかわかりませんし、逆にアメリカ軍に対する攻撃を激しくするかもしれませんので、それは言えなかったんだと思うんです。あと、NATOに対する怒りがかなり高まっていますので、本当はもっとNATO批判をしたかったのでしょうが、それをやってしまうと演説の焦点がぼけるので、そこも避けたんだと思います」

(Q.ストップをかけられたということでしょうかね)

小谷哲男教授
「いま、政権内にストップをかけられる人はいないので、いろんな人たちと相談しているなかで、トランプ大統領が自ら判断したんだと思います」

(Q.イランは、徹底抗戦の構えですが、このトランプ大統領の演説に対して、何らかの停戦に向けた前向きなメッセージなどが出るという期待感はあったのでしょうか)

田中浩一郎教授
「強い期待感というほどのものはないにしても、ペゼシュキアン大統領がトランプ大統領の演説の前にメッセージを出していたわけで、その辺りのことを考えると、少しでも何か違うことを言うんじゃないかと思っている人たちはいたんだと思います。それはイラン軍を含めた総意であるかは別にして、若干の期待は持っていたとは思うんです。それが肩透かしに終わったというか、そのようなことは起きなかったということで、イランはイランのやることをこのまま引き続きやるんだというのが、報道官の発言にも表れています」

(Q.どういうことを続けていくのでしょうか)

田中浩一郎教授
「『私からイランに対して、今後2~3週間かけて徹底的に攻撃を仕掛ける』ということを、トランプ大統領はまた繰り返していますので、それに対して、イランは、必然的に周辺国を含めて、アメリカ軍などへの攻撃をできるだけ続けていくということにしか過ぎないんです。ある意味でいうと、主導権を握っているのは自分たちなんだということを言いたいがためでもあります。イランは、最終的には地上戦というか、本土決戦のようなことをイメージして準備をしていると考えています。『そんなことをやれるつもりなら、やってみろ』というある種の誘いでもあり、挑発でもあり、強がりでもあるんですけどね」

(Q.イラン側が、交渉次第で、ホルムズ海峡の通行を日本に認める可能性はあるのでしょうか)

田中浩一郎教授
「交渉してみない限りはわからないですが、ゴーサイン、青信号が出る可能性は0ではないと思いますので、試してみる価値はあると思います。ここにきて、ヨーロッパとイランとの間の溝がどんどん深まっています。それを見ていると、G7からアメリカを除いたG6の中で、イランと、直接、話ができる国は、もうほとんどいなくなってきている。フランスのマクロン大統領は、若干、ニュアンスがある発言をするので、フランスとはまだやっていけるところはありますが、ある意味で日本の中途半端な立場が、イラン側には受けているというところがあると思います。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2026
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