#自民党 第219回臨時国会における渡辺猛之参議院議員代表質問(2025.11.6)
第219回臨時国会における渡辺猛之参議院議員代表質問(2025.11.6)
2025年11月6日(木)第219回臨時国会にて渡辺猛之参議院議員が代表質問を行いました。
自由民主党の渡辺 猛之です。
会派を代表し、高市総理大臣の所信表明演説に対して、質問いたします。
我が党の高市総裁が、女性として、日本初の内閣総理大臣に選出されました。
絶対にあきらめないという決意で前を向き続ける。
高市総理の就任が、性別や世代、学歴などで限界を決めつけられて、新たな挑戦の機会を失うといった「社会に潜む無意識の思い込み」を払しょくし、
我が国と国民が持つ「底力」が発揮される。そんな未来につながっていくことを期待しています。
まずは、強い日本をつくる土台となる経済成長についてお伺いいたします。
昨年の国内総生産の名目速報値は初めて600兆円を超えました。
500兆円を超えてから30年超の年月を要しましたが、今や、日本経済は、デフレ下にあるとはいえないほどの状況となっています。
そこで、この上向きの経済軌道が、物価高や国外の要因等でデフレに戻ることがないようにするには、消費と投資という二つのエンジンを力強く回していく必要があります。
そのために、経済成長を牽引する物価高に負けない実質賃金の引上げと、生産性の向上につながる国内投資が欠かせません。
一方で、我が国の普通国債残高は、令和7年度末には1,129兆円に上ると見込まれており、金利上昇局面では利払い費が大幅に増える可能性があることに
留意すべきとの見解もあります。
高市総理は、大胆な危機管理投資と成長投資で、暮らしの安全・安心の確保を図るとともに、雇用と所得を増やすことで消費マインドを改善し、税収を自然増に向かわせるという経済サイクルを主張されています。
一部で、財政赤字の増加を憂慮する見方がある中、金融市場が神経質な展開となることを避けつつ、どのように「責任ある積極財政」を推し進めていかれるお考えでしょうか。総理にお伺いします。
物価高を超える賃上げを実現し、国民の皆様の消費意欲を盛り立てていくためには、我が国の雇用全体のうち七割を占め、特に地方では八割を超えている中小企業・小規模事業者の生産力向上が不可欠です。
しかし、現場の中小企業・小規模事業者の方々からお話を伺うと、人手不足が著しいことから、企業業績が伸びなくとも賃上げをしないと人が集まらず、本当に厳しいとの声を伺います。
また、従業員から「働きたいのでもっと仕事をさせてくれ」と言われても、厳しくなった労働時間規制があるために、働いてもらうわけにはいかず、結局、新規注文を断るという話も聞きました。
こうした状況の中、これまで講じられてきた賃上げ促進税制は、そもそも赤字の事業所では恩恵がないので、柔軟な制度にしてほしい、また、労働時間についても、従業員の健康が守られることを大前提として、その方々の同意があれば、規制をより柔軟にしてほしい、といった要望が数多く聞こえます。
高市総理は、初閣議で、新たな経済対策の策定を指示しましたが、中小企業・小規模事業者の生産性向上と賃上げ促進のために、これまで以上に、事業者に寄り添った支援策の拡充を対策に盛り込み、事業者の底力を後押しすべきと考えます。
また、働き方改革についても、従業員の健康と意思の双方を考慮した、より柔軟な制度の再構築により、企業も雇用者も恩恵を受けるかたちにしてはどうかと考えます。総理のご所見をお伺いいたします。
この夏の参議院選挙中も、「物価高で生活が苦しい」「給料が上がっても手取りが増えていかない」という国民の皆様の声をたくさん聞きました。
その中でも、食料品、特に日本人の主食である米の価格の上昇は家計を直撃します。
店頭での販売価格は、随意契約による政府備蓄米の販売が5月後半に始まり7月には一旦3500円台となりましたが、9月に入ると再度4200円台となりました。
一方、スーパーから消えていた米は、戻っており、米を買うのに長時間並ぶという状況は改善されています。
先ほども述べたように、米は我が国の生活、文化、思想にも深くかかわっている日本の主食です。
しかし、生産者の高齢化は進み、生産に関わる人口は減少傾向です。作付面積も減っています。
その上、農業生産に欠かせない資材や燃油価格の上昇は、農家の経営に大きな影響を与えています。
日々の生活に欠かせない食料品ですから、消費者の立場に立てば、米の値段の大きな上昇は、生活不安の増大につながります。
反面、需要と供給のバランスが崩れ、米価が急速に下落するようなことがあれば、米の生産にあたる現場の体力は損なわれ、中長期的には、米の安定供給を持続することは困難となります。
そこで、消費者と生産者双方の不安を払しょくさせる適切な情報発信に注力するとともに、根本的には、消費者に安定的に米を届けることができる需要に応じた生産体制を守り抜くことが絶対に不可欠であり、そのための制度設計を急がねばなりません。
その際、海外で、日本の米が高く評価され、外食を中心に、需要が大きく伸び、輸出は、昨年、対前年比で三割近く増加しているという現状も考慮する必要があるでしょう。
そこで、高市内閣においては、農家の皆様が安心して米作りに取り組める生産体制の堅持や、食料安全保障の強化、そして物価高に直面している国民の方々の生活安定等のために、どのような考え方で米政策を進めていくべきとの検討指示を出されたのでしょうか。総理のご所見をお伺いします。
地球温暖化や自然災害の防止、水源の涵養や大気浄化、熊をはじめとする野生動植物生息の場、そして木材生産など、森林が果たす役割は、多様かつ極めて重要なものとなっています。
しかし、林業は小規模・零細な事業者の割合が高く、さらに、森林所有者の世代交代や山林所在地からの転出等により、所有者の特定が困難な森林は増えています。
森林資源の適正な管理には、担い手育成やデジタル化等を通じた森林管理の強化が不可欠です。
さらに、持続的な森林管理の維持のためには、より付加価値の高い製材への加工、さらには人口減による住宅需要の減少傾向が見られる中での中高層建築物への木材の活用など、国産材の需要拡大策が求められますが、どのようにお考えでしょうか。ブランド材・吉野杉の産地である奈良県出身の高市総理に、我が国の財産である森林を未来につないでいくというご決意とともにお伺いします。
長らく続く人口の東京一極集中と地方からの流出により、多彩な文化や風習を有し、食料やエネルギー生産等を担ってきた地方の衰退が止まりません。
このため、石破内閣では、地方創生2.0を決定し、地方を「強く」、「豊か」で、そして「新しい・楽しい」ものにしていく取組を打ち出し、特に、地方からの人口流出が著しい若者と女性に着目した地域づくりを掲げました。
今回、高市内閣では、「地域未来戦略」を掲げ、地域を超えたビジネス展開を図る中堅企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講じ、地域に大規模な投資を呼び込むことで、産業クラスターを戦略的に形成していくと打ち出しています。
そこで、「地域未来戦略」では、地方創生2.0に掲げた「若者や女性にも選ばれる地域づくり」をどのように取り込みながら、政策を推進していくお考えでしょうか。総理にお伺いします。
健全な代表制民主主義であるためには、国民の利害や意見を公正かつ効果的に政治に反映する選挙制度が求められますが、本年行われた参議院議員通常選挙を巡り、投票価値の平等に関する訴訟が提起され、現在、高裁で審議が続いています。
参議院では、平成27年に、鳥取・島根両県、徳島・高知両県でいわゆる「合区」が導入され、較差は3倍前後にまで縮小されました。
その一方、合区となった県では、投票率の低下、無効票の増加傾向が顕著なことなどから、全国知事会をはじめとする地方六団体は毎年、合区解消決議を行い、通常選挙ごとに全ての都道府県から少なくとも一名の参議院議員の選出を要望しています。
徳島県弁護士会も、都道府県制度が国民に浸透している現状を無視した合区制度の解消を求める意見書を、総理官邸や各党に提出しています。
今後、参議院においても、これまで行われてきた参議院議員選挙制度を巡る議論を引き継いだ検討が始まることを期待します。
さらに、選挙制度の改正や議員定数について検討する際には、参議院は定数が衆議院の半数強に過ぎず、さらに憲法により半数改選が規定されていることを十分に踏まえる必要があります。
また、合区解消の抜本的な解決には、現憲法における地方自治の規定の充実に向けた議論が必要という主張もあります。
そこで、合区解消と、各都道府県からの参議院議員選出を求める地域からの強い声、また憲法における地方自治の規定を充実させるべきという意見を、高市総理はどのように受け止めた上で、議論が進むことを期待されるのでしょうか。お伺いいたします。
先端技術製品に広く使われ、電気自動車や戦闘機等の兵器の製造に不可欠なレアアースの生産量は中国が世界の約7割を占めています。
その中国は、本年4月にトランプ政権の関税措置への対抗として、レアアースの輸出規制を強化する決定を行い、米国も、この中国の措置に対して、すぐに100%の追加関税をかける旨、公表しました。
米中間での貿易摩擦激化というべき事態は、先月30日に開催された米中首脳会談で、中国側がレアアースの輸出規制強化を延期したことで、ギリギリ回避されましたが、抜本的な解決というわけではありません。
我が国は、2010年の尖閣諸島沖の日本領海内での中国漁船による海保巡回船への衝突事件で、中国によるレアアースの輸出制限を経験したことから、その供給網の多角化や、レアアースに頼らない技術開発を進めてきましたが、これらの取組に更に力を入れていかなければなりません。
今回の日米首脳会談では、日米両政府が、電気自動車・EVなどに欠かせないレアアースなどの「重要鉱物」の確保について覚書を取り交わしましたが、経済安全保障の強化と関連産業の強化を掲げる高市総理としては、レアアースも含めて、どのように中国に頼らない経済安全保障政策を進めていかれるお考えでしょうか。ご所見をお伺いします。
ドローン等の無人アセットを使用した新しい戦い方、宇宙空間やサイバー領域の最前線化、我が国を取り巻く中国、ロシア、北朝鮮における軍事力増強の動きと戦略的な連携の強化など、我が国の防衛力を整備する上で考えるべき状況は、著しく変化しています。
我が国は、令和4年12月に策定された、いわゆる「戦略三文書」に基づき、5年間の防衛費として43兆円の国費を投入し、防衛力の抜本的強化を実現していくこととしていますが、現下の厳しい安保環境に即して見直すべきは見直していかなければなりません。
本年9月には、防衛大臣の下で設置された「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」が報告書をまとめました。
敵基地攻撃能力を持つ長射程のミサイルを、隠密裏に行動できる潜水艦に搭載することが抑止力の大幅な強化につながると記載したことや、
救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限られている武器輸出の対象について、価値観を共有する友好国には制限を設けない考え方も一案としています。
高市総理は、所信表明演説において、様々な安全保障環境の変化等から、主体的に防衛力の抜本的強化を進める必要があるとして、「対GDP比2%水準」の前倒し措置の実施と、来年中の「三文書」の改定に向けた検討について強い意志を示されました。
先月28日に行われた日米首脳会談や、その後の日米防衛相会談では、我が方から、自前の防衛力を強化する意志を伝えたことで、日米同盟の更なる強化につながったところです。
(続く)
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